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だいこんかつらむきつま

大根の美味しい季節になって参りました。

原っぱ村の我が家の畑でも今年こそはと、間引きをし、大根の成長を日々楽しみにしていますが、周りの畑のそれとは格段に低いレベルで、いまだにやせっぽちの大根ばかり。
これじゃあ、おろしに使うくらいしか出来ないなと、プロの農家との差を身に染みて感じております。

大根は青海波のような居酒屋では毎日必要な野菜です。
まずはなんといっても刺身のつま。
つまを食べないお客様もいらっしゃいます。
つまは例えば鰹などの赤身の血を吸収したりする役目がありますので、そういう場合はもちろんでしょう。
しかし、ヒラメやタイなど白身の魚の下にあるつまは真っ白なまま。こちらは綺麗にお召し上がりいただくと、やはり戻ってきた皿を見たとき嬉しいものです。

つまは、毎日大根をかつらむきして作ります。
かつらむきとは、簡単に言えば長さ6,7センチに切った大根をぐるりと薄くむくように切っていくことです。
調理師学校時代、この基本的な仕事を練習させられました。
結局沢山練習した人はそれだけ上達し、サボった人は大してうまくなれないという実にやりがいのある作業です。
女将はあまり練習しなかったので、大根は途中で切れるし、面は包丁の斜めの線が入ってたりするし、微妙に厚さに違いがでたり。
そして、最後の方になると大根がラッパみたいに斜めになってしまうのです。
同級にイトちゃんという女性がいまして、イトちゃんはものすごーく練習していたので、それは見事なかつらむきができるようになりました。
彼女のそれは、まるで、シルクの布のよう。透けるように薄く、全てが均一で滑らかで、剥いて行く端から大根が「紡ぎ出される」という趣でした。
余りに見事で日本料理の先生から「もうしなくていい」と止められたほどでした。
つまは魚屋でも売られてますが、機械で作ったものは一目瞭然。均一でも断面はギザギザボソボソしています。
よく磨いだ包丁でかつらむきしたつまはツヤツヤです。
イトちゃんのかつらむきで作ったつまはそりゃあもうピンピンのツヤツヤ。それだけでも価値あるなと今にして思います。

居酒屋をやるようになって、店主は毎日大根と向き合いかつらむきし、つまを打っています。
おかげでイトちゃんレベルに近づきました。
昨日、久しぶりに女将がやってみたところ・・・・。
やっぱり大根はラッパになって、むいた面は切れ切れで、包丁初心者に成り下がってしまいました。
昔、店主の親方だった人が「かつらむきしろ。これは色んな訓練になる。指先の細やかな力加減を身につけられる」としょっちゅう言っていたそうです。
基本の基ではありますが、指先の訓練だけではなく、心静かに、大根に向き合ってかつらむきをする時間は何か精神修行をしているような気がします。
剣道、書道、合気道など、静と動の緊迫したせめぎあいの道のような。
かつらむきって、日本的なのですね。

そんな感じでむく端からみずみずしく雫が滴り落ちる旬な大根とつまの話でございました。

たかがつま、されどつま。

不恰好なつまが乗ってたら「ははん。こりゃあ修行足りない女将のつまだな」とお笑いくだされ。


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なるほどねぇ。その姿が美しいではないですか!
日本の美ですな。
小泉八雲が「世界中を旅したが虫の音を聞き。自然の音に耳を傾ける日本人はすばらしい」と言ったそうな。それに通じるかも。

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